給与振込口座の差押えを違法とした判決(2019年9月26日大阪高裁判決)について|非正規労働者の権利実現全国会議

給与振込口座の差押えを違法とした判決(2019年9月26日大阪高裁判決)について

2019.12.26

税金や国民健康保険料の滞納があった場合に、税務署や自治体が滞納者の預金口座や給与などの財産を差し押さえることがあります。

しかし、給与は、労働者の生活の糧であるため、労働者やその家族の最低生活を保障するために一定額(10万円+生計を同一にする配偶者その他親族の数×4.5万円)については差押えが禁止されています。

他方で、預金についてはこのような制限はありません。

では、給与が預金口座に振り込まれたときにこの預金口座を差し押さえたらどうなるのか?この点について、2019年9月26日に出された大阪高裁判決は、給与が預金口座に振り込まれた後の預金口座の差押えについて、実質的に給与の差押えであるとして、違法と判断しました。

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この事案では、預金口座には1円しかない状態で給与19万4879円が振り込まれました。その後、携帯電話料金の引き落としや預金の引き出しなどで給与振り込みの2日後には預金が10万308円となりました。

そして、税務署がこの預金口座にある10万308円すべてを差し押さえたのです。

上記判決は、まず預金口座の差押えであっても、実質的に差押えを禁止された給料等の差押えと同視できる場合には、給料等の一定額について差押が禁止された趣旨に反するものとして違法になると述べました。

その上で、今回の預金の状況に加え、税務署の職員が、預金口座の入出金履歴から、入金がわずかの例外を除いて就労先からの給与しかないこと、毎月15日前後に給与が振り込まれていることなどを認識しており、預金口座を差し押さえたときには給与自体を差し押さえる際には差し押さえることができない部分も差し押さえてしまう可能性があることを認識していたことなどから、本件差押処分は、実質的に差押えを禁止された給料等の債権を差し押さえたものと同視することができると判断し、今回の税務署の差押えを違法としました。

今回のように給与が振り込まれた預金口座が差し押さえられたというケースでは、差押えが違法とされる可能性があります。

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